東京都心部の再開発でも計画を見直したり、延期したりするケースが相次いでいます。今、何が起きているのか。私たちの暮らしにどのような影響があるのか。住宅に関する調査・研究を行っている「ライフルホームズ総研」の中山登志朗副所長に話を聞きました。(中沢誠)

周辺一帯の再開発が遅れ、建て替え時期が「未定」となった帝国ホテル東京本館(中央)=東京都千代田区で、本社ヘリ「あさづる」から(朝倉豊撮影)
──再開発の見直しの動きが都心部にも及んできている要因は何ですか。
ロシアのウクライナ侵攻後、原材料が高くなったことと、建設業と運輸業の(残業規制を強化した)「2024年問題」などで人手不足から人件費が上がったことで、再開発のハードルが近年、急激に上がっていました。そこに中東情勢の影響で、石油化学製品の原料となるナフサなどの供給不安が起きたことが、一番大きな要因とみています。ますます先行きが不透明になっていることが背景にあると思います。
──ナフサ不足による影響はまだ顕在化していないという話も聞きますが。

ナフサショックが本格化するのはこれからです。再開発は大規模な工事が多く、3~5年はかかります。開発企業にとって、完成まで工事を維持できるのかと考えたとき、これは無理でしょうと。今やめておかないと大やけどを負うと考える経営陣が増え、延期したり棚上げしたりする再開発が出てきているのだとみています。
──都心部の再開発でも大やけどを負う可能性があるのですか。
それだけ再開発のハードルが上がっているということです。大資本が参加しても、当初の予算を大きく超えるほど開発コストが跳ね上がり、事業採算性が取れなくなっています。計画白紙になった中野区の複合施設「中野サンプラザ」の再開発は、事業費が2倍近くにまで膨れ上がりました。
──棚上げしても事態が好転する見込みがあるのですか。
先行きに関しては全く分からないとしか言いようがないのが、今の状況です。仮に中東情勢が解消しても、中長期的に原油や原油関連商品の価格の上昇は避けられないという話もあります。再開発を2、3年塩漬けにしても、事態が好転しなければ、当面塩漬けが続く可能性があります。
──それでもなぜ開発企業は延期や棚上げという判断を取るのですか。

ライフルホームズ総研の中山登志朗さん(LIFULL提供)
少なくとも現状でゴーサインを出してしまうと、大やけどを負う可能性が高いからです。経営的判断として、とりあえず状況が好転するまで見守るしかない、好転するほうに賭けて待つしかないということだと思います。
──各地で再開発が棚上げされると、マンションやオフィスの供給量が減るのでは。
供給は減るでしょう。2...
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