ハンセン病療養所には日本人だけでなく、朝鮮半島をはじめ海外にルーツのある患者や回復者が暮らしてきた。国による強制隔離や外国人政策に加え、園内の日本人による差別にあらがい、出自に誇りを持って生きた人たちだ。彼らに光を当てる企画展が都内で開かれている。(石原真樹)

土木作業で使われたツルハシやスコップについて説明する学芸員の木村さん=東村山市の国立ハンセン病資料館で
さびたツルハシやスコップが、天に伸びるように並ぶ。国立ハンセン病資料館(東村山市)の展示室。隣接する国立療養所多磨全生園の入所者たちが「患者作業」として、園内の道路整備などの土木作業に使った道具だ。
誰もやりたがらない重労働を、多くの朝鮮出身者が担った。学校教育が受けられなかったため日本語の読み書きや計算ができず、できる患者作業が限られたことが背景にあった。日本人に認められようと自ら進んで引き受けた側面もあったという。

ツルハシを用いて作業する様子を描いた「土木工事」=金井真紀さん作、国立ハンセン病資料館提供
在日朝鮮人は国立療養所10カ所に入所し、割合は入所者全体の5%(1960年)。一般社会の0.6%(同)よりも高い。展示を企画した学芸員の木村哲也さん(54)は「日本の植民地政策により労働者として連れてこられ、劣悪な生活環境が原因で発病した人が多かった」と解説する。「朝鮮人が1割いた園もあり、彼らの存在を抜きに療養所は語れない。歴史を直視しなければいけない」
病気によって家族と引き離され療養所に隔離された境遇は同じなのに、日本人入所者との間に線が引かれた。戦後、日本人の障害者や老齢者に支給された年金が、外国籍の人は対象外とされ、園内で所得格差が生まれた。是正を求めた朝鮮人に、日本人入所者は...
残り
667/1334 文字
この記事は会員限定です。
無料会員に登録する
有料会員に登録する
ログインして続きを読む
有料会員に登録すると
会員向け記事が読み放題
記事にコメントが書ける
紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
会員登録について詳しく見る
よくある質問はこちら
