
日本最古の靴クリームメーカー「谷口化学工業所」の5代目。同社は、革靴好きの間では「ライオン靴クリーム本舗」のブランド名で知られている。
東京都台東区出身。創業家に生まれた。子どもの頃から工場に出入りして遊び回り、家業には親しみがあった。
大学卒業後はIT企業に就職。営業として製造業を担当した。日本のものづくりが社会を支えていることを改めて学び、家業を継ぐ決意をした。
2017年に入社。当時は3代目で88歳の祖父が経営していた。ふたを開けてみると、昭和的な社風で財務的にもかなり厳しい状態。就業規則もボーナスも、会社のホームページすらなかった。「時代から取り残されていた。斜陽産業とは分かっていたが『いつつぶれてもおかしくない』とショックだった」
祖父や4代目の父は、「良い商品を作ればうまくいく。我慢すればいつか光が差す」という考えだった。だが「良い商品を作るのは大前提。ニーズに応えて、自社の魅力をPRしないと倒産する」と訴えた。その度に父とはぶつかり、けんかになった。
21年4月、社長に就任。次々と社内改革を進め、IT技術を導入していった。だが現場からの評判は芳しくなかった。陰では「何をやりたいんだか分からない」とも言われた。長く会社を支えてきた職人からは「弘武くんのみこしを担ぐ人は誰もいないよ」と突き放された。
だが、心は折れなかった。その理由を「家業だから。自分が折れたらその時点で全てが終わる。...
残り
608/1216 文字
この記事は会員限定です。エントリー会員(無料)に登録すると、続きを読めます。
無料会員に登録して読む
ログインする
無料会員(エントリー)に登録すると
会員限定記事を読める
有料会員限定記事も月3本まで読める
有料会員などの会員種別、登録手続きについて詳しく知る
よくある質問はこちら
