人工知能(AI)などの情報処理を担うデータセンター(DC)の建設を巡る事業者と地域住民の対立の問題が、国会で取り上げられた。だが、政府の答弁には「責任回避」や「逃げ」の姿勢ばかりが目立った。住民や有識者は、紛争の防止や適正な立地が図られるよう、DCの法的な定義を明確にすることが不可欠だと訴えるが、政府の問題意識は低調なままだ。(中根政人)

千葉ニュータウン中央駅北側のDC建設予定地=24日、千葉県印西市で(住民提供)
「DCには、建築基準法上の用途区分が存在しない。事実上、立地規制が生じないことによって、事業者の意向次第でどこにでも建てることができる。DCの法律上の用途を明確に位置付ける考えはないのか」
15日の衆院国土交通委員会。質問に立った共産党の畑野君枝氏は、DC建設を巡って住民との紛争が各地で相次ぐことを受け、政府としての現状認識や今後の対応策をただした。

金子恭之国土交通相(資料写真)
だが、金子恭之国土交通相は、主体的な関与を避けようとする内容の答弁に終始した。
「住民の不安ができる限り解消されるよう、業界団体や先進的な地方公共団体において策定されたガイドラインを踏まえた取り組みが行われることも重要だ。国交省としては、地方公共団体に対して、このようなガイドラインを周知するとともに、(まちづくり政策の観点で)地区計画等を活用した取り組みが促進されるよう、地方公共団体に働きかけていく」
インターネット上の情報処理を行う基幹インフラとしてDCの建設計画が各地で「乱立」する。要因となっているのは、DCの法的な位置付けがいまだに定まっていないことだ。
DCのサーバーに搭載されるAI半導体のGPU(画像処理装置)で世界シェアの大半を握る米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、次世代のDCを「AIファクトリー」と定義する。これまでのデータの蓄積・処理を主とした施設から、AIの推論を主な役割とした「工場」に進化していくとする。
一方で、建築物としてのDCの日本国内での定義は実質的には存在しない。DCの事業者は建設計画を自治体に届け出る際に、建築基準法上の用途を「事務所」と分類したり、「その他(データセンター)」と定義付けている。
DC集積地の千葉県印西市。北総鉄道北総線・千葉ニュータウン中央駅北口に計画されているDCを巡って周辺住民が起こした民事訴訟の第1回口頭弁論が19日に千葉地裁であった。ここでも争点となっているのは、DCの法的な定義だ。
弁論後の記者会見で、原告代理人の及川智志弁護士は「法律が現実に追いついていない。DCは大規模な設備でデータを24時間365日加工し、価値を生み出している。DCはAI時代の工場だ」と、政府に意識改革を求めた。

DC建設を巡る訴訟の記者会見に臨む(前列左から)原告の服部吉宏さんと谷川宗和さん、原告代理人の及川智志弁護士=19日、千葉市中央区で
原告の谷川宗和さん(53)は「私たちは、DCの存在自体が不要だとは言っていない」と断った上で、「事業者は短期的な経済的利益を追求するだけで、地元住民との共生を目指す姿勢がない。国交省には、DCの実態に合わせた用途区分を明確に定義付けるよう求める」と述べた。
同じく原告の服部吉宏さん(69)は、国交省のみならず、IT政策や環境問題としてのDCを巡って、経済産業省や環境省も「対応できる手段を講じていない」と批判。「非常に大きな問題が起き始めていることに対して、一刻も早く是正してもらいたい」と強調した。
DC建設を巡って、首都圏では千葉県印西市のほか、東京都日野市や江東区などでも周辺住民の反発が高まり、連携の動きも広がりを見せている。4月28日には、東京・霞が関...
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