「もう一人の自分に出会う場」 精神科病院にある「造形教室」…扉の先に待っていた世界は

ビッグデータ Oct 30, 2026 IDOPRESS

精神科病院「平川病院」(八王子市)の一角に「造形教室」がある。外来向けの作業療法の位置付けだが、治療という枠組み以上に、精神疾患のある人たちに内在する「生」を表現する場になっている。どんな所なのだろう。教室の扉を開いた。(木原育子)

平川病院の「造形教室」。開いている日はいつ来てもいつ帰ってもいい=東京都八王子市で(木戸佑撮影)

◆「評価、解釈される世界とは違いますね」

指先に力を込めて版画を彫る人、背丈以上の図画に描く人、じっと何かを思案している人。思い思いの「芸術家」らが集う異色のアトリエといった様相だ。

メンバーは35人程度。火、木、金曜の週3回、午前10時から午後4時ごろまで開いており、いつ来てもいつ帰ってもいい。別の精神科病院に通院していても参加できる。

造形教室メンバーの作品を見る宇野学さん=東京都八王子市で(木戸佑撮影)

そんなメンバーを優しいまなざしで見守るのがアトリエ専門の病院職員、宇野学さん(52)だ。「ここは自己表現の体験を通して潜在する可能性を引き出し、もう一人の自分と出会う『営みの場』といった感じでしょうか。治療や教育といった上から与えられ、外から評価、解釈される世界とは違いますね」と控えめに話す。

北海道出身の宇野さん自身も紆余(うよ)曲折を経てアトリエにたどり着いた一人だ。元々は芸術家志望。父親が身体障害者で幼いころから、家計を含めて何をするにも楽ではなかった。「普通の人」を求められたが、相反して芸術の追究が自身の自立への一歩になった。

◆絶望のさなかに出合って

だが、希望を抱いて進んだ札幌の大学で気付いたのは実力とは程遠い、...

残り

852/1455 文字

この記事は会員限定です。

無料会員に登録する

有料会員に登録する

ログインして続きを読む

有料会員に登録すると

会員向け記事が読み放題

記事にコメントが書ける

紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)

※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。

会員登録について詳しく見る

よくある質問はこちら

テクノロジーエコー: Tech、AI、Aerospace、Biotech Newsのソース

テクノロジーエコー、日本の科学技術ニュースポータル。 テクノロジー、人工知能、バイオテクノロジー、データ、その他の分野の最新の発展について報告することに尽力しています。
© テクノロジーエコー プライバシーポリシー お問い合わせ