精神科病院「平川病院」(八王子市)の一角に「造形教室」がある。外来向けの作業療法の位置付けだが、治療という枠組み以上に、精神疾患のある人たちに内在する「生」を表現する場になっている。どんな所なのだろう。教室の扉を開いた。(木原育子)

平川病院の「造形教室」。開いている日はいつ来てもいつ帰ってもいい=東京都八王子市で(木戸佑撮影)
指先に力を込めて版画を彫る人、背丈以上の図画に描く人、じっと何かを思案している人。思い思いの「芸術家」らが集う異色のアトリエといった様相だ。
メンバーは35人程度。火、木、金曜の週3回、午前10時から午後4時ごろまで開いており、いつ来てもいつ帰ってもいい。別の精神科病院に通院していても参加できる。

造形教室メンバーの作品を見る宇野学さん=東京都八王子市で(木戸佑撮影)
そんなメンバーを優しいまなざしで見守るのがアトリエ専門の病院職員、宇野学さん(52)だ。「ここは自己表現の体験を通して潜在する可能性を引き出し、もう一人の自分と出会う『営みの場』といった感じでしょうか。治療や教育といった上から与えられ、外から評価、解釈される世界とは違いますね」と控えめに話す。
北海道出身の宇野さん自身も紆余(うよ)曲折を経てアトリエにたどり着いた一人だ。元々は芸術家志望。父親が身体障害者で幼いころから、家計を含めて何をするにも楽ではなかった。「普通の人」を求められたが、相反して芸術の追究が自身の自立への一歩になった。
だが、希望を抱いて進んだ札幌の大学で気付いたのは実力とは程遠い、...
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