〈ニュースあなた発〉
持ち家があると生活保護を利用できない──。そんな不安から、困窮しても申請をためらう人は少なくない。生活保護を利用する前に自宅の売却を勧められた女性がいる。苦境を紹介した記事「4月8日配信の東京共助」の読者から、「自宅を売らなくても利用できるのでは?」と疑問が寄せられた。実際のルールを調べた。(中村真暁)
女性(62)は亡き両親が残した東京都内の一軒家に猫と暮らす。取材時はきょうだい男性の暴力による心的外傷後ストレス障害(PTSD)で働けなくなり、生活に困窮していた。

生活保護の実施要領には、家屋の保有について「処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りではない」とある(一部画像処理)
生活保護の利用には、資産の活用が求められる。女性は社会福祉協議会の職員に、自宅の売却や引っ越しを勧められたという。
女性は、声を落とした。「たとえ売却したとして、猫と一緒に住める賃貸住宅を見つけられるのか。今は住宅について考える気力すら、残っていない」
厚生労働省の「生活保護の実施要領」によると、宅地や家屋の保有を認める一方、「処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りではない」とあった。
厚労省保護課の担当者は「処分しても高額でないならば、保有することになる」と説明した。

厚生労働省(資料写真)
保有を認める際の検討の目安としては、4歳の子がいる30代と20代の夫婦3人世帯が23区内に住む場合、10年間で受け取る生活費と住宅費の基準額の合計と同等とした。計算すると、2000万円台半ばほどだった。
ただし、担当者は「一概には言いにくい」とも。「地域の持ち家率や意識も加味される。いろいろな要素があり、自治体の福祉事務所で判断する。2000万円以上だからといって、必ずしも処分が必要となるのではない」
一方、ある自治体のケース...
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