<杉並区長選・「対話」の先に>①
任期満了に伴う東京都杉並区長選(28日投票、29日開票)が、地方選挙としては異例の注目を集めている。視線の先にいるのが、4年前の前回選で初当選した岸本聡子区長。政治経験を持たず、市民グループの支援で当時の現職を破った岸本区長は、住民参加型の「対話の区政」を打ち出し、交流サイト(SNS)上などで激しい論争を起こしてきた。有権者はリベラル色の強い岸本区政の継続を望むのか、否か。争点の現場を追った。(佐藤航)
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5月半ば、JR西荻窪駅から北に1キロほどのところにある杉並区の集会施設。幅広い世代の10人ほどの住民が、活発な議論を繰り広げていた。
テーマは、区と東京都が2020年に着手した道路の拡幅事業に伴う「沿道のまちづくり」。集会施設の付近から南に延びる約600メートルの区間で拡幅事業が進む中、「道路整備を機に、どんな街をつくっていきたいか」を住民自身が話し合う場だという。

5月、JR西荻窪駅近くの道路整備に伴うまちづくりについて話し合う住民ら(佐藤航撮影)
2024年度から続くこの活動は、「対話の区政」を掲げる岸本区長の肝いり事業だ。岸本区長は4年前の区長選で、環境や教育問題などに取り組む市民グループの支援を受けて出馬。自民党の重鎮だった石原伸晃・元衆院議員らが後押しする田中良・前区長をわずか187票差で破って以来、こうした住民参画型の枠組みを次々と打ち出している。
この日は区が買収した用地のうち、しばらく整備が始まらない土地について、住民がどのような形で暫定利用できるか知恵を出し合った。区職員も同席し、住民のアイデアが実現できるかを検討。法令の壁にぶつかることも多いが、参加する1級建築士の石井祐樹さん(48)は「行政との対話によって実現したことも少なくない」と言う。

6月7日に開かれた集会で話す岸本聡子氏(隈崎稔樹撮影)
住民の声が形になった例が、道路沿いに設けられた「雨庭」だ。アスファルトやコンクリートで覆わない土の地面に雨水を浸...
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